父の初盆で、鈴子ちゃんにあった。もう子供の頃の面影はないけれど、人に鈴子ちゃんだよといわれて、分かるくらい歳を重ねた。

昔話に花が咲いて、私が雀を逃したときのことを話したら、「雀じゃないんだよ、やまがら　なの、父にずいぶんしかられた記憶があるの、」

昭和２２、３年ぐらいの出来事なのですが、私は鈴子ちゃんとその他何人かの人と遊んでいた記憶があります。ものほし竿に布団がかかっていて、その端っこに、鳥かごが引っかかっていました。私たち子供はそこで隠れっこのような遊びをしていましたが、そのかごが地面に落ちて小鳥が１羽逃げたのです。そのとき鈴子ちゃんは、「さっちゃんが逃した」といって父親に報告していたのを覚えています。「そんなとこで遊んでいるのが悪い、鈴子は一番お姉さんなんだから、」といって鈴子ちゃんをしかった覚えがありました。私はしょんぼりして家に帰りましたがその時の夕食が大豆の煮物でした。父は私があまり元気がないので心配して、その大豆をご飯の上に、人の顔を描くように、目や口や鼻の形にのせて、「うんまいから早く食べろ、食べろ」と私に進めたの覚えています。そのとき私はその出来事を話せばよかったのですが、叱られると思って、話しませんでした。

その後鈴子ちゃんの方から親に話があるかなと思いましたが、それっきりでその事件は終わりました。何か印象になって今だにはっきり覚えているのはどうしたことでしょう。

鈴子ちゃんはそんな思い出話を聞いて、父親を思い出したように嬉しそうに、懐かしそうに「そんな事お父さんが言ったの、私は　やまがら　を逃がした」事しか覚えてないんだよね」と言って「ヘー　お父さんが、、、」と目が光ったように私には見えました。

　おばさん記